採光・換気チェック表示/採光・換気チェック

ON(点灯表示)の時、居室となる各部屋毎に採光・換気の簡易チェックを常時おこないます。
平面図に採光・換気の判断マークが表示されるようになり、平面より「部屋指定別詳細ダイアログ」、パネル下部のより「建物全体詳細ダイアログ」を開くことができ、判定がリアルタイムに表示されます。

メモ

  • 敷地、部屋、出窓壁、建具、トップライト、外部開口・内部開口、屋根、手摺、パラペット、庇、ベランダを入力・変更する度に、再計算をリアルタイムにおこないます。
  • 採光・換気チェックを行うためには、敷地、部屋、建具、遮蔽物(軒先・庇・パラペット・外部手摺・バルコニー)が入力されていることが前提です。入力を促すメッセージが表示されます(図例:敷地)
  • 敷地タイプが「隣地」の場合、判定の対象外となります。
  • リンク切れしている外部建具がある状態で採光・換気チェックを行った場合は、建具幅・高(内法)の面積で計算します。なお、換気については「0」になります。 正確な判定をおこなうためには、リンク切れを解消してください。

指定した部屋の判定を確認する

平面ビューに判定表示された部屋(居室)を指定することで部屋別の判定内容を確認することができます。

  1. 「採光・換気チェック表示」をONの点灯状態()にします。
  2. プランデータの居室に判定結果が表示されます。表示された居室をクリックします。

    また、下部パネル(メッセージバー)の採光・換気の判定が表示されます。(
  3. クリックした部屋の採光・換気の判定内容が表示されます。

    閉じるときは、他のコマンドを実行するか、「採光・換気チェック表示」をOFFにします。

メモ

  • 合成可能な部屋があった場合、居室部屋のみに「OK」「NG」判定を表示します。なお、合成した場合は”合成部屋”として判定表示します。(平面ビュー、採光・換気チェック画面)
  • 採光計算において遮蔽物や敷地が無い場合は、対象建具のある部屋の有効面積欄に「遮蔽物なし」「敷地なし」を表記します。

建物全体の判定を確認する

「採光・換気チェック表示」がON(点灯表示)の場合、下部パネル(メッセージバー)のをクリックすることで建物全体の採光・換気の判定を確認することができます。

  1. 「採光・換気チェック表示」をONの点灯状態()にします。
  2. 「採光・換気チェック」をクリックします。
  3. 建物全体の採光・換気の判定内容が表示されます。
  4. 確認を終える場合、「閉じる」をクリックします。

メモ

  • 一部屋でも「NG」があれば、下部パネルに「NG」と表示します。
  • 複数敷地が入っていた場合には一番広い面積のものを採用します。
  • 「用途地域」は、敷地のプロパティ詳細の用途地域から下表に従い表示します。
    敷地の用途地域表示用途地域
    第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域
    第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域
    第一種住居地域、第二種住居地域、田園住居地域、準住居地域
    住居系地域
    準工業地域、工業地域、工業専用地域工業系地域
    近隣商業地域、商業地域、指定なし 商業系地域

定義や計算等について

簡易判定のための Modelio(住宅対象)特有のルールを解説します。

採光について

採光チェックでは、プラン上の採光に有効な面積が、法定係数からの採光に必要な面積以上であれば「OK」判定になります。

●各建具の( 窓の面積 × 採光補正係数 )の合計 ≧ 居室の床面積 × 必要面積係数

計算項目 画面上の表記 丸め 備考
有効採光面積 有効面積(㎡) 切り捨て
窓の面積 切り捨て 外部建具の形状から取得します。
採光補正係数 切り捨て 参照:採光補正係数について
必要採光面積 必要面積(㎡) 切り上げ
居室の床面積 合成床面積(㎡) 切り上げ 部屋線で囲まれた面積とします。
参照:居室と個別・合成部屋
必要面積係数 1/7:内部初期値

※トップライト(Modelioでは”開かない窓”とします)は下記の計算をおこないます。

●窓の面積 × 採光補正係数 × 3 ≧ 居室の床面積 × 1/7

また、トップライト(「屋根・天井」)の窓面積は下記のようになります。

・「幅」×「奥行」-「枠見付」×2 (枠見付:初期値40:変更する場合は「部材初期値編集」より)

※縁側に関しては、幅「900mm~」の考慮はしていません。すべての幅において「900mm」未満の縁側と同じ扱いとし計算します。

※吹き抜けは「床が無い部屋」とします。吹き抜けは、その下階に配置された部屋の建具としてカウントされます。

※照明器具による代替措置に対する採光必要面積への緩和は対応していません。

※数値の丸めに関して:各項目内では小数点以下3桁で計算し、その結果値の小数点以下3桁目を上表に従い丸めます(小数点以下3桁目は「0」)。

 さらに、太字項目の全体的な計算をおこない、最終結果値の小数点以下3桁目を丸め、小数点以下2桁で表示します。

採光補正係数について

採光補正係数は、以下の計算式より求めます。

●「水平距離(D)/垂直距離(H)× α - β」

※ α、β は用途地域により異なります。

用途地域αβ
住居系地域(住宅)61.4
工業系地域(工業)81.0
商業系地域・指定なし(商業・その他)101.0
 

※水平距離 (D):建具入力線の中央を通る垂線において、交差した遮蔽物から敷地線との交点までの水平距離
※垂直距離 (H):建具の中央高さから、建具入力線の中央を通る垂線に交差した位置の遮蔽物の高さ
 →(参照:遮蔽物別

採光補正係数の調整

計算値「水平距離(D)/垂直距離(H)× α - β」をもとに、次の調整がかけられて採光補正係数が決定します。(最大3.00)

採光補正係数の調整
計算値が3.0以上の場合は、「3.0」にします。 10.47 → 3.00
対向敷地境界線が道路の場合、計算値が1.0未満の場合は、「1.0」にします。 0.36 → 1.00
対向敷地境界線が道路以外の場合、水平距離が許容水平距離※1以上で、かつ計算値が1.0未満となる場合は、「1.0」にします。 0.36 → 1.00
対向敷地境界線が道路以外の場合、水平距離が許容水平距離※1未満で、かつ計算値が負の数となる場合は、「0.0」にします。 -0.37 → 0.00
トップライトは計算値の3倍(最大値「3.0」) 505.15 → 3.00

※1:許容水平距離:住居系(7m)、工業系(5m)、商業系(4m)

遮蔽物別の水平距離(D)・垂直距離(H)について

採光補正係数を計算する際、建具の遮蔽物により、自動で算出される距離が変わります。
・屋根の軒先、ケラバ(屋根線属性を参照)( 向き:勾配 )
・パラペット(向き:各辺の外側)
・外部手摺(向き:各辺の外側)
・ベランダ(向き:各辺の外側)
・出窓壁の屋根(向き:各辺の外側)
・庇(向き:各辺の外側)

建具入力線の中央を通る垂線と交差する遮蔽物を対象とします。建具から敷地への向きと逆向きのものは対象外とします。

遮蔽物が「屋根」の場合


【D】屋根の軒先から隣地境界線までの距離
【H】屋根の軒先から建具高さの中心までの距離

※屋根軒先は「屋根葺材を考慮した先端」を指します。
 緑丸座標X = 赤丸座標X + ① + ②
 緑丸座標Y = 赤丸座標Y + ③ + ④ - ⑤

CAD描画の領域は垂木の先(赤線)になります。
Θ:勾配、A:垂木厚、B:葺材厚、C:葺材チリ、H:屋根パネルの [ツール] – [屋根 – 高さ] コマンドでの高さ
① 葺材厚のX成分、② 葺材チリのX成分、③ 垂木厚のY成分、④ 葺材厚のY成分、⑤ 葺材チリのY成分

※切妻の桁を参照し、葺き材のチリを考慮します。(ケラバは考慮せず)

※軒樋の先を参照します。
右図の上2つの幅が120mm、下2つの幅が160mmです。
全タイプとも、CAD入力ラインから10mm離れた箇所から作成されます。

※高さは、屋根ふき材の上面を延長した高さです。

遮蔽物が「パラペット」の場合
【D】パラペットの外壁から隣地境界線までの距離
【H】パラペットの天端から建具高さの中心までの距離

※パラペットの笠木チリ(10mm固定)が水平距離に考慮されます。
遮蔽物が外部手摺の場合
【D】手摺壁の壁面から隣地境界線までの距離
※ 手摺のみ(壁OFF)の場合は、手摺外面からの距離になります。

【H】手摺壁の天端から建具高さの中心までの距離
※ 手摺がある場合も同様です。
※ 手摺のみ(壁OFF)の場合は、手摺子の下端からの距離になります。
遮蔽物が「バルコニー」の場合
【D】バルコニーの外側から隣地境界線までの距離
【H】バルコニー床仕上げの天端から建具高さの中心までの距離

メモ

  • 敷地の境界線属性を参照して、開口部が河川や公園に面する場合は、公園等の幅の1/2のラインを隣地境界線とみなし、水平距離に「公園等幅/2」が加算されます。
    開口部が道路に面し、さらにその向こうに公園等がある場合は、道路幅に「公園等幅/2」が加算されます。(平成12年6月1日建設省住指発第682号通達)
    川・公園の幅には、敷地属性の「斜線設定」一覧の値が連動します。
  • 窓の両端の中心点から垂直水平のラインを水平距離の算出に使用します。
    コーナー建具の場合は、1-2点間、2-3点間のそれぞれの中心座標から敷地までの距離を算出し、D/H が小さい方を採用します。
  • トップライトの場合、
    水平距離は「中心を通る勾配の線分」で参照する遮蔽物・敷地線を求めます。
    垂直距離は「トップライト中央の高さから、中心を通る勾配の線分に交差した位置の遮蔽物の高さ」になります。

換気について

換気チェックでは、プラン上の換気に有効な面積が、法定係数からの換気に必要な面積以上であれば「OK」判定になります。

●各建具の( 窓の面積 × 建具形状から求まる有効開口比率 )の合計 ≧ 居室の床面積 × 必要面積係数

計算項目 画面上の表記 丸め 備考
換気有効面積 有効面積(㎡) 切り捨て
窓の面積 切り捨て 外部建具の形状から取得します。
建具開口から求まる開口有効比率 切り捨て プログラムで保持してる値です。
参照:建具形状から求まる有効開口比率
必要開口面積 必要面積(㎡) 切り上げ
居室の床面積 合成床面積(㎡) 切り上げ 部屋線で囲まれた面積とします。
参照:居室と個別・合成部屋
必要面積係数 1/20:内部初期値

※数値の丸めに関して:各項目内では小数点以下3桁で計算し、その結果値の小数点以下3桁目を上表に従い丸めます(小数点以下3桁目は「0」)。

 さらに、太字項目の全体的な計算をおこない、最終結果値の小数点以下3桁目を丸め、小数点以下2桁で表示します。

建具形状から求まる有効開口比率:建具の形状・種類から自然換気に有効な開口の比率を内部保持しています。(下表参照)

  
建具形状名有効開口比率
Fix、トップライト(開かないタイプとして固定)0
2枚引違、4枚引違1/2
3枚引違、片袖2/3
片引、引分、両袖1/2
片開、親子、両開、自由、両自由、折戸、両折戸、伸縮戸、可動間仕切、片袖※1、両袖※1 1/1
突き出し、縦回転、横回転、倒し、横すべり、縦すべり 45/45※2(=1)
上げ下げ1/2
ジャロジー2/3

※1 開かない袖部分がある場合、建具幅に対して開く割合を用いています(内部固定値)。→片袖:「2/3」、両袖:「1/2」

※2 回転窓共通の最大開き角度(内部初期値:45度)/ 換気に必要十分な開き角度(内部固定値:45度)

合成部屋:居室と個別部屋

2室を1室にみなされた部屋をModelioでは「合成部屋」と称しています。下記を満たした場合に「合成部屋」になります。

・下表の居室に「合成可能」の部屋が接している場合。

個別部屋居室合成可能
玄関×
ホール××
キッチン×
リビング×
ダイニング×
LDK×
勝手口×
階段××
UB××
洗面脱衣室××
ユーティリティ××
トイレ××
洋室×
寝室×
子供室×
和室×
仏間××
床の間×
縁側×
収納××
押入××
シューズクローク××
クローゼット××
ウォークインクローゼット××
外部収納××
小屋裏収納××
小屋裏吹抜××
吹抜××
車庫××
みなし部屋××

・共有壁が開口部でとなっている場合が多く、この場合「採光・換気チェック」表記をカッコ[]で表記しています。

無窓居室の場合

各居室(合成部屋含む)を判定し、判定がNGとなる無窓居室が存在した場合、判定OKの隣接部屋との採光・換気の緩和を試みます。共有する開口幅が共有する壁の1/2もしくは建具幅が無窓居室側の壁の1/2以上と判断された場合は判定OKとなります(1/2未満で判定NGの場合は、次の隣接部屋と緩和処理を試みます)。

もし、判定OKの隣接部屋が複数存在した場合、

・接続した状態での 採光・換気の有効面積の合計 – 採光・換気の必要面積の合計

が一番小さい部屋(不利な状態の部屋)と接続します。

また、無窓居室が複数存在(優先順位:入力順)した場合は、同様に上記の処理を繰り返します。

このように、全体的に判定OKとなるように接続処理をおこないますが、接続処理が不可(共有開口での解消不可)の場合は、採光・換気緩和とみなさず、無窓居室のみを単独判定NGとします(試みた結果、採光・換気共にOKになった場合に”2室1室”としています)。

メモ

  • 接続処理時、共有する壁より長い平行壁が存在した場合、居室機能を考慮(奥行長は考慮せず)して、その長い壁を計算に使用します。(下図例左)
    なお、その長さが縁側・床の間・勝手口・玄関を含む場合は、共有する壁(短い方)を計算に使用します。(下図例右)
  • 内部建具(引き違い戸(ふすま含)、引戸、折戸、可動間仕切、三方枠)の幅は「建具枠の外々+内壁厚×2」として計算します。
  • 合成可能な居室は法的に2部屋までのため、3部屋以上つながることはありません。
    意識的に分けたい場合は、部屋プロパティにある「採光・換気チェック時、部屋合成の対象としない」を有効(ON)にします。

連窓の場合

連窓の場合、可動する建具の部分の比率を考慮して計算します。

換気例:上側が「引き違い」、下側が「Fix」、上下が同じ高さだった場合は、

(「1/2」 ×「 1/2」)+(「0」×「0」)=「1/4」 になります。

この例では、引き違いだけの計算になります。