プログラム名 | 外皮性能計算 | Ver. | Ver.8 | ID | Q560385 | 更新日 | 2021/11/30 |
Q:マンション・アパートなど集合住宅のときの外皮性能計算について教えてください。
A:集合住宅の場合、住戸別に計算が必要です。例えば3階建てで各フロア3部屋の9部屋ある場合、各部屋ごとに条件が異なるため、住戸別に物件データを分けて外皮性能計算データを作成する必要があります。
各住戸を形成する熱的境界データ
住戸 | 上面 | 下面 | 西面 | 東面 |
3階 住戸(A) | 3階 熱的境界(屋根) | 3階 界床 | 3階 熱的境界(壁) | 3階 界壁 |
2階 住戸(D) | 3階 界床 | 2階 界床 | 2階 熱的境界(壁) | 2階 界壁 |
1階 住戸(G) | 2階 界床 | 1階 熱的境界(床・基礎) | 1階 熱的境界(壁) | 1階 界壁 |
- 現階の床仕様には、専用初期設定に登録されている「鉄筋コンクリート床」(表面熱伝達抵抗R=0.15)、上階には「鉄筋コンクリート界床(上階床)」(表面熱伝達抵抗R=0.09)を登録して使用します。
- 最下階の下が「空調された共用部等」又は「ピット等」の場合は、「鉄筋コンクリート床」を使用します。
各住戸の外皮性能計算データを作成する前に
物件データを複写して、各住戸分の物件データを用意します。
また、「物件初期設定:性能・地域条件-建築物事項」の「建て方」が「共同住宅等」になっていることを確認します。
必要となる界床の仕様を登録する
現階の床仕様には、専用初期設定に登録されている「鉄筋コンクリート床」(表面熱伝達抵抗R=0.15)を使用しますが、上階で使用する「鉄筋コンクリート界床(上階床)」(表面熱伝達抵抗R=0.09)は登録されていないため、こちらを登録します。
- 「専用初期設定:仕様」の「グループ」を「床」に変更し、未登録欄をダブルクリックします。
- 「仕様名称」を設定し、「断熱材の施工法」を「各工法共通:熱橋がない場合」に変更します。
- 下記のように設定して、「OK」をクリックして登録します。
・ 材料の未登録欄をダブルクリックして、「3:躯体」から「コンクリート」を選びます。
・ ここでは、「d」を「150」に変更します。
・「室内側表面熱伝達抵抗Ri」「外気側表面熱伝達抵抗Ro」をそれぞれ「0.09」に変更します。
・ 断熱部のチェックをONにします。 - ここでは、下記「鉄筋コンクリート床」「鉄筋コンクリート界床(上階床)」を界床として使用します。
住戸(A)の外皮性能計算データを作成する
3階の熱的境界を自動配置する
住戸(A)の物件の3階を開いて、「自動配置」をクリックします。
最上階の場合、1・2階データは不要のため、3階は「現在の階のみ」をONにして作成します。
3階の壁・建具を編集する
- 3階では不要な熱的境界データを削除します。
ここでは、住戸(A)以外の東側の熱的境界(壁)、熱的境界(建具)を削除します。 - 北側と南側の熱的境界(壁)を伸縮して、住戸(A)のみの壁となるようにします。
- 熱的境界(壁)に含まれる開口面積が変わったため、「編集」メニューの「開口面積再取得」で開口面積を再取得します。
- 「境界」メニューの「熱的境界(壁・妻壁)」で、住戸(A)の東側に界壁を入力します。
※「界壁」をON、「方位」を住戸に対する方位に変更します。
※ 1~3地域では温度差係数 0.05、4~8地域では温度差係数 0.15 になります。
メモ
- 「熱的境界(壁)」ダイアログの「界壁」は、「共同住宅等」のときに表示されます。
- RC造の建物(最上階など外気に接する面)において熱橋部の柱、梁から熱が逃げる箇所がある場合、「境界」メニューの「構造熱橋」の「構造熱橋H」「構造熱橋L」で構造熱橋の入力が必要になります。
3階の屋根を編集する
- モードを「屋根・天井・軒桁・胴差・構造熱橋」に切り替えます。
- 熱的境界(屋根)を住戸(A)のみの屋根となるように変形します。
3階の界床を編集する
- モードを「床・土台」に切り替えます。
- 住戸(A)以外の熱的境界(床)を削除して、住戸(A)のみにします。
- 熱的境界(床)の属性変更ダイアログで「界床」がONになっていることを確認します。
※ ここでは、すべての熱的境界(床)を選択して、「属性変更」をクリックします。 - 「仕様」をクリックして、「鉄筋コンクリート床」に変更します。
- 「一括」をクリックし、「仕様」が選択されていることを確認して「OK」をクリックします。
3階の居室区画を編集する
- モードを「基礎・居室区画」に切り替えます。
- 住戸(A)以外の居室区画を削除して、住戸(A)のみにします。
- 「外皮性能パースモニタ」をクリックして、住戸(A)の立体を確認します。
※ これで住戸(A)の編集は終了です。
住戸(D)の外皮性能計算データを作成する
住戸(D)のように中階の場合、1階データは不要のため、2・3階は「自動配置条件設定」ダイアログで「現在の階のみ」をONにして作成します。2階を作成後、3階では界床のみとなるように編集します。
※ 編集する熱的境界については、下記「住戸(D)の外皮性能計算データを編集する」を参照してください。
住戸(G)の外皮性能計算データを作成する
住戸(G)のような最下階の場合、最上階データは不要のため、1・2階は「現在の階のみ」をONにして作成します。1階を作成後、2階では界床のみとなるように編集します。※ 編集する熱的境界については、下記「住戸(G)の外皮性能計算データを編集する」を参照してください。
住戸(A)の外皮性能計算データを編集する
3階部分 | |
壁・建具モード | ・ 住戸(A)以外の熱的境界(建具)を削除 ・ 建物東側の熱的境界(壁)を削除 ・ 住戸(A)だけの壁となるように、北側と南側の熱的境界(壁)を伸縮 ・「編集」メニューの「開口面積再取得」で、北・南側の熱的境界(壁)の開口面積を再取得 ・「境界」メニューの「熱的境界(壁)」で、住戸(A)の東側に界壁を入力 「界壁」をON、「方位」を住戸に対する方位に変更 |
屋根・天井・軒桁・胴差・構造熱橋モード | ・ 最上階では住戸(A)だけの屋根となるように、熱的境界(屋根)を変形 |
床・土台モード | ・ 住戸(A)だけの界床となるように、住戸(A)以外の熱的境界(床)を削除 ・ 仕様を「鉄筋コンクリート床」に変更、「界床」がONになっていることを確認 |
基礎・居室区画モード | ・ 住戸(A)だけの居室区画となるように、住戸(A)以外の居室区画を削除 |
2階部分 | |
熱的境界データ | ・ 2階外皮性能計算データの作成は不要 |
住戸(D)の外皮性能計算データを編集する
2階部分 | |
壁・建具モード | ・ 住戸(D)以外の熱的境界(建具)を削除 ・ 建物東側の熱的境界(壁)を削除 ・ 住戸(D)だけの壁となるように、北側と南側の熱的境界(壁)を伸縮 ・「編集」メニューの「開口面積再取得」で、北・南側の熱的境界(壁)の開口面積を再取得 ・「境界」メニューの「熱的境界(壁)」で、住戸(D)の東側に界壁を入力 「界壁」をON、「方位」を住戸に対する方位に変更 |
屋根・天井・軒桁・胴差・構造熱橋モード | 2階では熱的境界(天井)、熱的境界(屋根)はありません。3階で界床を作成します。 |
床・土台モード | ・ 住戸(D)だけの界床となるように、住戸(D)以外の熱的境界(床)を削除 ・ 仕様を「鉄筋コンクリート床」に変更、「界床」がONになっていることを確認 |
基礎・居室区画モード | ・ 住戸(D)だけの居室区画となるように、住戸(D)以外の居室区画を削除 |
3階部分 | |
壁・建具モード | ・ 熱的境界(壁)、熱的境界(建具)を削除 |
屋根・天井・軒桁・胴差・構造熱橋モード | ・ 熱的境界(天井)、熱的境界(屋根)を削除 |
床・土台モード | ・ 住戸(D)だけの界床となるように、住戸(D)以外の熱的境界(床)を削除 ・ 仕様を「鉄筋コンクリート界床(上階床)」に変更、「界床」がONになっていることを確認 |
基礎・居室区画モード | ・ 熱的境界(基礎)、居室区画を削除 |
住戸(G)の外皮性能計算データを編集する
1階部分 | |
壁・建具モード | ・ 住戸(G)以外の熱的境界(建具)を削除 ・ 建物東側の熱的境界(壁)を削除 ・ 住戸(G)だけの壁となるように、北側と南側の熱的境界(壁)を伸縮 ・「編集」メニューの「開口面積再取得」で、北・南側の熱的境界(壁)の開口面積を再取得 ・「境界」メニューの「熱的境界(壁)」で、住戸(G)の東側に界壁を入力 「界壁」をON、「方位」を住戸に対する方位に変更 |
屋根・天井・軒桁・胴差・構造熱橋モード | 1階では熱的境界(天井)、熱的境界(屋根)はありません。2階で界床を作成します。 |
床・土台モード | ・ 住戸(G)だけの床となるように、住戸(G)以外の熱的境界(床)を削除 ・ 仕様を「鉄筋コンクリート床」に変更、「界床」がOFFであることを確認 |
基礎・居室区画モード | ・ 住戸(G)だけの居室区画となるように、住戸(G)以外の居室区画を削除 ・ 住戸(G)の玄関とUBだけの基礎となるように、住戸(G)以外の熱的境界(基礎)を削除 |
2階部分 | |
壁・建具モード | ・ 熱的境界(壁)、熱的境界(建具)を削除 |
屋根・天井・軒桁・胴差・構造熱橋モード | ・ 熱的境界(天井)、熱的境界(屋根)を削除 |
床・土台モード | ・ 住戸(G)だけの界床となるように、住戸(G)以外の熱的境界(床)を削除 ・ 仕様を「鉄筋コンクリート界床(上階床)」に変更、「界床」がONになっていることを確認 |
基礎・居室区画モード | ・ 熱的境界(基礎)、居室区画を削除 |
メモ
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上階が界床のみとなる階の場合は、「専用初期設定:自動配置条件」で「床」のみをON(残りをOFF)にしてから、熱的境界(床)だけを自動配置してもかまいません。
ただし、他階で自動配置するときは、再度「専用初期設定:自動配置条件」を確認してください。