プログラム名 外皮性能計算 Ver. Ver.7.2 ID Q560385 更新日 2021/06/21

Q:マンション・アパートなど集合住宅のときの外皮性能計算について教えてください。

A:集合住宅の場合、住戸別に計算が必要です。例えば3階建てで各フロア3部屋の9部屋ある場合、各部屋ごとに条件が異なるため、住戸別に物件データを分けて外皮性能計算データを作成する必要があります。

各住戸を形成する熱的境界データ

住戸 上面 下面 西面 東面
3階 住戸(A) 3階 熱的境界(屋根) 3階 界床 3階 熱的境界(壁) 3階 界壁
2階 住戸(D) 3階 界床 2階 界床 2階 熱的境界(壁) 2階 界壁
1階 住戸(G) 2階 界床 1階 熱的境界(床・基礎) 1階 熱的境界(壁) 1階 界壁
  • 現階の床仕様には、専用初期設定に登録されている「鉄筋コンクリート床」(表面熱伝達抵抗R=0.15)、上階には「鉄筋コンクリート界床(上階床)」(表面熱伝達抵抗R=0.09)を登録して使用します。
  • 最下階の下が「空調された共用部等」又は「ピット等」の場合は、「鉄筋コンクリート床」を使用します。

各住戸の外皮性能計算データを作成する前に

物件データを複写して、各住戸分の物件データを用意します。

また、「物件初期設定:性能・地域条件-建築物事項」の「建て方」が「共同住宅等」になっていることを確認します。

必要となる界床の仕様を登録する

現階の床仕様には、専用初期設定に登録されている「鉄筋コンクリート床」(表面熱伝達抵抗R=0.15)を使用しますが、上階で使用する「鉄筋コンクリート界床(上階床)」(表面熱伝達抵抗R=0.09)は登録されていないため、こちらを登録します。

  1. 「専用初期設定:仕様」の「グループ」を「床」に変更し、未登録欄をダブルクリックします。
  2. 「仕様名称」を設定し、「断熱材の施工法」を「各工法共通:熱橋がない場合」に変更します。
  3. 下記のように設定して、「OK」をクリックして登録します。
    ・ 材料の未登録欄をダブルクリックして、「3:躯体」から「コンクリート」を選びます。
    ・ ここでは、「d」を「150」に変更します。
    ・「室内側表面熱伝達抵抗Ri」「外気側表面熱伝達抵抗Ro」をそれぞれ「0.09」に変更します。
    ・ 断熱部のチェックをONにします。
  4. ここでは、下記「鉄筋コンクリート床」「鉄筋コンクリート界床(上階床)」を界床として使用します。

 

住戸(A)の外皮性能計算データを作成する

3階の熱的境界を自動配置する

住戸(A)の物件の3階を開いて、「自動配置」をクリックします。
最上階の場合、1・2階データは不要のため、3階は「現在の階のみ」をONにして作成します。

3階の壁・建具を編集する
  1. 3階では不要な熱的境界データを削除します。
    ここでは、住戸(A)以外の東側の熱的境界(壁)、熱的境界(建具)を削除します。
  2. 北側と南側の熱的境界(壁)を伸縮して、住戸(A)のみの壁となるようにします。
  3. 熱的境界(壁)に含まれる開口面積が変わったため、「編集」メニューの「開口面積再取得」で開口面積を再取得します。
  4. 「境界」メニューの「熱的境界(壁・妻壁)」で、住戸(A)の東側に界壁を入力します。
    ※「界壁」をON、「方位」を住戸に対する方位に変更します。
    ※ 1~3地域では温度差係数 0.05、4~8地域では温度差係数 0.15 になります。

メモ

  • 「熱的境界(壁)」ダイアログの「界壁」は、「共同住宅等」のときに表示されます。
  • RC造の建物(最上階など外気に接する面)において熱橋部の柱、梁から熱が逃げる箇所がある場合、「境界」メニューの「構造熱橋」の「構造熱橋H」「構造熱橋L」で構造熱橋の入力が必要になります。
3階の屋根を編集する
  1. モードを「屋根・天井・軒桁・胴差・構造熱橋」に切り替えます。
  2. 熱的境界(屋根)を住戸(A)のみの屋根となるように変形します。
3階の界床を編集する
  1. モードを「床・土台」に切り替えます。
  2. 住戸(A)以外の熱的境界(床)を削除して、住戸(A)のみにします。
  3. 熱的境界(床)の属性変更ダイアログで「界床」がONになっていることを確認します。
    ※ ここでは、すべての熱的境界(床)を選択して、「属性変更」をクリックします。
  4. 「仕様」をクリックして、「鉄筋コンクリート床」に変更します。
  5. 「一括」をクリックし、「仕様」が選択されていることを確認して「OK」をクリックします。
3階の居室区画を編集する
  1. モードを「基礎・居室区画」に切り替えます。
  2. 住戸(A)以外の居室区画を削除して、住戸(A)のみにします。
  3. 「外皮性能パースモニタ」をクリックして、住戸(A)の立体を確認します。
    ※ これで住戸(A)の編集は終了です。

住戸(D)の外皮性能計算データを作成する

住戸(D)のように中階の場合、1階データは不要のため、2・3階は「現在の階のみ」をONにして作成します。2階を作成後、3階では界床のみとなるように編集します。
※ 編集する熱的境界については、下記「住戸(D)の外皮性能計算データを編集する」を参照してください。

 

住戸(G)の外皮性能計算データを作成する

住戸(G)のような最下階の場合、最上階データは不要のため、1・2階は「現在の階のみ」をONにして作成します。1階を作成後、2階では界床のみとなるように編集します。
※ 編集する熱的境界については、下記「住戸(G)の外皮性能計算データを編集する」を参照してください。

 

住戸(A)の外皮性能計算データを編集する

3階部分
壁・建具モード・ 住戸(A)以外の熱的境界(建具)を削除
・ 建物東側の熱的境界(壁)を削除
・ 住戸(A)だけの壁となるように、北側と南側の熱的境界(壁)を伸縮
・「編集」メニューの「開口面積再取得」で、北・南側の熱的境界(壁)の開口面積を再取得
・「境界」メニューの「熱的境界(壁)」で、住戸(A)の東側に界壁を入力
 「界壁」をON、「方位」を住戸に対する方位に変更
屋根・天井・軒桁・胴差・構造熱橋モード・ 最上階では住戸(A)だけの屋根となるように、熱的境界(屋根)を変形
床・土台モード・ 住戸(A)だけの界床となるように、住戸(A)以外の熱的境界(床)を削除
・ 仕様を「鉄筋コンクリート床」に変更、「界床」がONになっていることを確認
基礎・居室区画モード・ 住戸(A)だけの居室区画となるように、住戸(A)以外の居室区画を削除
2階部分
熱的境界データ・ 2階外皮性能計算データの作成は不要

 

住戸(D)の外皮性能計算データを編集する


2階部分
壁・建具モード・ 住戸(D)以外の熱的境界(建具)を削除
・ 建物東側の熱的境界(壁)を削除
・ 住戸(D)だけの壁となるように、北側と南側の熱的境界(壁)を伸縮
・「編集」メニューの「開口面積再取得」で、北・南側の熱的境界(壁)の開口面積を再取得
・「境界」メニューの「熱的境界(壁)」で、住戸(D)の東側に界壁を入力
 「界壁」をON、「方位」を住戸に対する方位に変更
屋根・天井・軒桁・胴差・構造熱橋モード2階では熱的境界(天井)、熱的境界(屋根)はありません。3階で界床を作成します。
床・土台モード・ 住戸(D)だけの界床となるように、住戸(D)以外の熱的境界(床)を削除
・ 仕様を「鉄筋コンクリート床」に変更、「界床」がONになっていることを確認
基礎・居室区画モード・ 住戸(D)だけの居室区画となるように、住戸(D)以外の居室区画を削除
3階部分
壁・建具モード・ 熱的境界(壁)、熱的境界(建具)を削除
屋根・天井・軒桁・胴差・構造熱橋モード・ 熱的境界(天井)、熱的境界(屋根)を削除
床・土台モード・ 住戸(D)だけの界床となるように、住戸(D)以外の熱的境界(床)を削除
・ 仕様を「鉄筋コンクリート界床(上階床)」に変更、「界床」がONになっていることを確認
基礎・居室区画モード・ 熱的境界(基礎)、居室区画を削除

 

住戸(G)の外皮性能計算データを編集する


1階部分
壁・建具モード・ 住戸(G)以外の熱的境界(建具)を削除
・ 建物東側の熱的境界(壁)を削除
・ 住戸(G)だけの壁となるように、北側と南側の熱的境界(壁)を伸縮
・「編集」メニューの「開口面積再取得」で、北・南側の熱的境界(壁)の開口面積を再取得
・「境界」メニューの「熱的境界(壁)」で、住戸(G)の東側に界壁を入力
 「界壁」をON、「方位」を住戸に対する方位に変更
屋根・天井・軒桁・胴差・構造熱橋モード1階では熱的境界(天井)、熱的境界(屋根)はありません。2階で界床を作成します。
床・土台モード・ 住戸(G)だけの床となるように、住戸(G)以外の熱的境界(床)を削除
・ 仕様を「鉄筋コンクリート床」に変更、「界床」がOFFであることを確認
基礎・居室区画モード・ 住戸(G)だけの居室区画となるように、住戸(G)以外の居室区画を削除
・ 住戸(G)の玄関とUBだけの基礎となるように、住戸(G)以外の熱的境界(基礎)を削除
2階部分
壁・建具モード・ 熱的境界(壁)、熱的境界(建具)を削除
屋根・天井・軒桁・胴差・構造熱橋モード・ 熱的境界(天井)、熱的境界(屋根)を削除
床・土台モード・ 住戸(G)だけの界床となるように、住戸(G)以外の熱的境界(床)を削除
・ 仕様を「鉄筋コンクリート界床(上階床)」に変更、「界床」がONになっていることを確認
基礎・居室区画モード・ 熱的境界(基礎)、居室区画を削除

メモ

  • 上階が界床のみとなる階の場合は、「専用初期設定:自動配置条件」で「床」のみをON(残りをOFF)にしてから、熱的境界(床)だけを自動配置してもかまいません。
    ただし、他階で自動配置するときは、再度「専用初期設定:自動配置条件」を確認してください。