換気設備チェック
居室区画ごとに、ホルムアルデヒド対策の1つである換気設備設置のチェックを行います。
このチェックでは、各居室区画の各部屋の気積と換気回数から区画に必要な換気量を算出し、設定されている換気設備の有効換気量の比較判定を行います。
また、圧力損失が生じるダクト、天井付換気設備、天井通気口、フード、分岐の圧力損失計算を行い、風量を検討することも可能です。
なお、「居室チェック」の「換気設備チェック」でも同様にチェックできます。
換気設備をチェックするA530550_kkc_sec01
- 「換気設備チェック」をクリックします。
- 「換気設備チェック」ダイアログの「居室区画一覧」で、チェックする居室区画をクリックします。
- 「換気設備一覧」で換気種別を確認します。青字の箇所をクリックすると、換気種別が切り替わります。
- 各部屋の床面積、平均天井高を変更する場合は、変更する部屋を選んで「属性変更」をクリックします。
換気設備を変更する場合は、変更する換気設備(番号、換気量)を選んで「属性変更」をクリックします。
(ダクトなど圧力損失が生じる場合は「換気設備の圧力損失計算を行う」を参照) - 「判定」を確認します。判定が「OK」の場合は、換気回数が満たされていることになります。
- 「OK」をクリックしてダイアログを閉じます。
メモ
- ダイアログの内容を変更した場合は、「OK」でダイアログを閉じた時点でシックハウスチェックデータに反映されます。
- 判定結果や必要換気量を確認して換気設備の入力が必要な場合は、ダイアログ上部の換気設備コマンドから入力できます。
- 1階玄関(上階が吹抜)や階段のように、1階とつながっている部屋の天井高は、1階と2階の部屋の天井高を合計したものが表示されます。このとき、例えば「1階玄関」の属性変更を行うと、「1階玄関」→「2階吹抜」の順で「部屋属性変更」ダイアログが表示されます。
- 仮想階は読み込み対象外のため、仮想階に対するチェックは行えません。
換気設備設置の義務とはA530550_kkc_sec02
ホルムアルデヒドを発散する材料を使用しない場合でも家具からの発散があるため、原則としてすべての建築物に機械換気設備の設置が義務付けられます。
部屋種別 | 換気回数 |
住宅等の居室 | 0.5回/h以上の換気設備が必要 (使用材料の面積により 0.7回/h以上必要) |
住宅等以外の居室 | 0.3回/h以上の換気設備が必要 (使用材料により 0.5回/h、0.7回/h以上必要) |
天井が高い居室においては、有効換気量を低減できます。
【換気回数 0.7回/h相当の換気が確保される居室(天井の高さ 2.7m以上)】
天井の高さ | 2.7以上 3.3未満 |
3.3以上 4.1未満 |
4.1以上 5.4未満 |
5.4以上 8.1未満 |
8.1以上 16.1未満 |
16.1以上 |
必要換気回数 | 0.6 | 0.5 | 0.4 | 0.3 | 0.2 | 0.1 |
【換気回数 0.5回/h相当の換気が確保される居室(天井の高さ 2.9m以上)】
天井の高さ | 2.9以上3.9未満 | 3.9以上5.8未満 | 5.8以上11.5未満 | 11.5以上 |
必要換気回数 | 0.4 | 0.3 | 0.2 | 0.1 |
【換気回数 0.3回/h相当の換気が確保される居室(天井の高さ 3.5m以上)】
天井の高さ | 3.5以上6.9未満 | 6.9以上13.8未満 | 13.8以上 |
必要換気回数 | 0.2 | 0.1 | 0.05 |
なお、以下の条件のとき、内装仕上制限の対象外となります。
・常時外気に開放された開口部と隙間の面積の合計が床面積1㎡あたり15c㎡以上の居室(自動車修理工場等)
・合板等の面材を使用しない真壁像で隙間を有する木造建具を使用した居室(伝統家屋等)
「換気設備チェック」ダイアログの機能A530550_kkc_sec03
居室区画一覧
全階の居室区画がリスト表示されます。
チェックする居室区画をクリックすると、モニタで居室区画が塗り潰されて表示されます。また、「階」も切り替わります。
「リスト編集」で、リスト表示されている居室区画の名称と表示順を変更できます。
メモ
- 選択している居室区画に配置されている換気設備(給気・排気)の状況が換気モニタに表示されます。
換気種別によって換気設備や通気口が配置されていないと、NGを示す「×」が表示されます。 - 住戸区画が有効な場合、住戸区画の切り替えで「全区画」以外を選んでいると、選択しているタイプの住戸区画(参照元)のみがチェック対象(表示される居室区画)になります。
換気設備一覧
居室区画名称 | 区画に含まれる部屋名は「・」、合成区画は「-」でつなげて表示されます。 |
部屋種別 | 居室区画の部屋種別(住宅等の居室、住宅等以外の居室)が表示されます。 |
換気種別 | 居室区画の換気種別(方式)が表示されます。青字の箇所をクリックすると、換気種別が切り替わります。 |
換気回数 | 「内装仕上チェック」で設定した居室区画の換気回数が表示されます。 |
部屋名 床面積 天井高 |
居室区画に含まれている部屋、部屋面積と計算根拠、平均天井高が表示されます。多角形の部屋の場合は、6個の矩形に分割できる領域のみ計算根拠が表示されます。 「属性変更」で部屋の床面積、平均天井高を変更できます。 |
気積 | 「床面積 × 天井高」の計算結果が表示されます。 |
有効換気量 | 給気機、排気機ごとに、配置されている換気設備の番号と換気量が表示されます。 黄色のセルは天井付換気設備または天井通気口を示し、圧力損失計算を行うことができます。 ※ 天井通気口は、ダクトで連結されている天井換気(集中)と同番号になります。 ※ 圧力損失計算が「NG」の場合、風量は赤字で表示されます。 |
合計 | 合計床面積(A)、合計気積(B)、有効換気量の合計(C)が表示されます。 第1種換気設備の場合は、給気、排気の換気量が大きい方を有効換気量とします。第2種の場合は給気の換気量、第3種の場合は排気の換気量を有効換気量とします。 |
合計風量 | 天井換気の風量の合計が表示されます。 |
平均天井高 | 天井高の平均が「合計気積(B)/合計床面積(A)」で算出されます。 |
必要換気回数 | 「内装仕上チェック」で設定した換気回数と「平均天井高」から低減を考慮した必要換気回数(D)が表示されます。 |
必要換気量 | 居室区画に必要な換気量が「必要換気回数(D)× 合計気積(B)」で算出されます。 |
有効換気回数 | 「有効換気量の合計(C)/ 合計気積(B)」で算出されます。 |
メモ
- 「床面積」「天井高」「気積」で使用される長さ、高さおよび面積の丸め方法は、「専用初期設定:丸め」で設定します。
- 「有効換気量」では通常「給気機」「排気機」ごとに風量が表示されますが、第1種換気設備の場合で1つの居室区画に壁付の換気設備(給排気)のみが配置されているときは、「給排気機」と表示されます。
判定
次式を満たす場合は「OK」、満たさない場合は「NG」と表示されます。
必要換気回数 ≦ 有効換気回数
換気設備の圧力損失計算を行うA530550_kkc_sec04
- 「換気設備チェック」ダイアログで黄色のセル(天井付換気設備または天井通気口)を選び、「圧力損失」をクリックします。
圧力損失計算用の画面が開きます。 - 風量を検討する場合は「風量検討」をクリックします。
- 換気設備メーカーのカタログ等を参照して、「風量検討」ダイアログの「風量A」「最大機外静圧」を入力します。
- 「室内端末」の項目内で右クリックして「風量等分(排気)」を選びます。
「風量A」の風量が、すべての室内端末の風量に等分されます。 - 「余り(A-B)」が「0」になったことを確認して、「OK」をクリックします。
- 圧力損失計算用の画面下部の「判定」で、圧力損失計算の判定を確認します。
「OK」の場合は、検討した風量が満たされていることになります。 - 「戻る」をクリックして「換気設備チェック」ダイアログに戻ります。
- 「判定」で、検討した風量および換気回数が満たされていることを確認します。
圧力損失計算についてA530550_kkc_sec05
圧力損失計算は次式により、屋外端末圧力損失、室内端末圧力損失、ダクト部圧力損失の合計から算出します(分岐部も端末圧力損失と同様)。
Pr | 圧力損失の合計 | ||||||||||||||
ζo | 屋外端末換気口の圧力損失係数 | ||||||||||||||
ζI | 室内端末換気口の圧力損失係数 | ||||||||||||||
λ | ダクトの摩擦係数 | ||||||||||||||
D | ダクトの直径(単位:m) | ||||||||||||||
L | ダクトの長さ(単位:m) | ||||||||||||||
ζB | 曲がり等局部の圧力損失係数 | ||||||||||||||
Pv | ダクト径に対応して定める基準動圧(単位:Pa) Pv=0.5・ρ・(Qs/3600/A)2 ρ=1.21Kg/m3(20℃の空気密度) A:ダクトの断面積(単位:㎡) |
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Q | 検証単位の必要風量(単位:m3/h) 「風量検討」で設定します。 |
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Qs | ダクト径、端末換気口の接続径に対応する基準風量(単位:m3/h)
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次図のような換気設備の圧力損失計算を行う場合は、上記式を使用して経路ごとに圧力損失の合計を算出します(ダクトは6次ダクトまで計算可能)。
その中で圧力損失合計が最大となる経路(最大圧損経路)を判定の対象とします。
メモ
- 第1種換気設備における給排気天井扇の場合において、給排気天井扇の圧力損失計算を「圧力損失計算安全率」ではなく「有効換気量率」を使用して行うときは、「専用初期設定:システム関連部材」の「給排気天井扇は有効換気量率を採用」をONにします。
このとき、「室内端末」に「有効換気量」が追加表示され、有効換気量率が表示されます。このときの「風量」は「有効換気量 ÷ 有効換気量率」(小数点以下2桁 切り上げ)となります。 - セルをクリックすると、対象の天井付換気設備、天井通気口、ダクトがCAD画面で塗り潰し表示されます。灰色のセルをクリックすると、換気経路がすべて塗り潰し表示されます。このときに「属性変更」をクリックすると、天井付換気設備を変更できます。
判定
次式を満たす場合は「OK」、満たさない場合は「NG」と表示されます。
Pr(最大圧損経路の圧力損失の合計)× 判定安全率 ≦ Pb(最大機外静圧)
判定安全率 | 「専用初期設定:システム関連部材」の「圧力損失計算安全率」で設定します。 |
Pb(最大機外静圧) | 「風量検討」をクリックして、「風量検討」ダイアログで設定します。 |
例えば、判定安全率=10%、Pr=25.34、Pb=30の場合、計算は次のようになります。
25.34 × 1.10 =27.87 ≦ 30.00 ・・・ 判定 OK
NGの判定が出た場合
判定でNGになった場合は、次のような措置が必要です。
・ 風量の大きい換気設備に交換する
・ 1つの換気設備で計画したが2つの換気設備で検討する
・ 補助の換気設備を増やす
「風量検討」ダイアログの機能A530550_kkc_sec06
換気設備の種別によって、「風量検討」ダイアログは次のように異なります。
風量A | 検討する風量を設定します。この風量を各室内端末の風量に割り振ります(初期値は等分)。 |
最大機外静圧 | 換気設備メーカーカタログの「静圧-風量特性曲線」のグラフより、「風量A」に対する最大機外静圧を設定します。 |
室内端末 | 各室内端末の風量の合計が「風量A」になるように、風量を割り振ります。この風量(Qi)で圧力損失計算を行います。 ※ セル上で右クリックして「風量等分」コマンドを選ぶと、「風量A」の風量を自動的に等分して各端末に割り振ることができます。 |
合計B | 各室内端末の風量の合計が表示されます。 |
余り(A-B) | 「風量A-合計B」の結果を表示します。余りが「0」になるように風量を割り振ります。「0」以外のときは「OK」をクリックできません。 |
メモ
- 天井付換気設備が「隠蔽」以外の場合は、本体に70%の風量が割り当てられ、残りの30%を各端末に等分します。
- 各端末に割り振る風量を検討した後に、天井通気口を追加すると再度、風量Aは各端末に等分して割り振られます。
メーカーの換気設備を使用した場合
換気設備マスタから取り込んだ天井付換気設備に「静圧-風量特性図」の情報がある場合は、「風量A」を入力すると「最大機外静圧」が自動的に計算されます。
モニタに表示されるグラフは、右クリックして表示されるポップアップメニューで拡大・縮小できます。
有効換気量率を採用する給排気天井扇の場合
「専用初期設定:システム関連部材」の「給排気天井扇は有効換気量率を採用」がONの場合は、ダイアログの設定が異なります。
有効換気量A | 検討する有効換気量を設定します。この風量を各室内端末の風量に割り振ります。 |
機械換気量 | 「室内端末(給気)」の「各端末の風量 ÷ 有効換気量率」の合計と「室内端末(排気)」の「各端末の風量 ÷ 有効換気量率」の合計の、大きい方の合計値が自動的に設定されます。 |
最大機外静圧 | 「機械換気量」に対する最大機外静圧になります。 |