2025法改正対応について
木造壁量計算に関する改正内容と、ZERO(Ver11以降)の対応内容を案内します。
※本頁の解説は「一般財団法人
日本建築防災協会」「一般財団法人 建築行政情報センター」発行の「2階建ての木造一戸建て住宅(軸組工法)等の確認申請・審査マニュアル」を参考にして解説しています。
出展 | 編集協力 | 国土交通省住宅局建築指導課 参事官(建築企画担当)付 | |
引用 | 発行 | 一般財団法人 日本建築防災協会 | |
一般財団法人 建築行政情報センター |
建築基準法改正の概要
木造壁量計算に関する改正内容は、大きく以下の3つとなります。
■必要壁量の基準の改定(令第46条第4項関連)
・
壁量基準の見直しにより、重い屋根・軽い屋根は廃止され、屋根材・外壁材・断熱材、太陽光パネル等の荷重の考慮、床面積と軒高で必要壁量を検討します。
・ 地震力必要壁量の算定を支援するためのツールとして「公益財団法人
日本住宅・木材技術センター」から下記の2つの支援ツールが公開されており活用して新基準の必要壁量の算定が行えます。
A:
主要な壁、屋根の仕様、階高等に応じて、算定式によりあらかじめ算定した床面積当たりの必要壁量を一覧表にした「早見表」
B: 壁、屋根の仕様、太陽光パネルの有無に応じて算定式を用いて、床面積当たりの必要壁量を算定できる「表計算ツール」
※風圧力に対する規定は現行のまま
■存在壁量の基準の改定(令第46条第4項関連)
・現行の壁倍率は5倍以下まででしたが、7倍まで使用できるように改定されました。
・基準法の申請においても、腰壁や垂れ壁等の準耐力壁等を存在壁量に算入できるように基準が改定されました。
■柱の小径の基準の改定(令第43条第1項関連)
・柱の座屈に対する判断基準が追加されました。柱の小径について、横架材相互間の垂直距離に応じて算定式による割合以上であることを確認します。
また、柱の有効細長比の明示が必要となります。
・
柱の小径や柱の負担可能面積の算定を支援するためのツールとして「公益財団法人
日本住宅・木材技術センター」から下記の2つの支援ツールが公開されており活用して算定が行えます。
A:
主要な壁、屋根の仕様、階高等に応じて、算定式によりあらかじめ算定した床面積当たりの柱の小径を一覧表にした「早見表」
B: 壁、屋根の仕様、太陽光パネルの有無に応じて算定式に基づき、柱の小径や柱の負担可能面積を算定できる「表計算ツール」
ZEROの対応( Ver11以降 木造壁量計算2025にて対応)
■必要壁量の基準の改定(令第46条第4項関連)
必要壁量の算定方法が建築材の重量を考慮した壁量基準となり、どなたでも必要壁量が簡単に求められるように「公益財団法人
日本住宅・木材技術センター」より「早見表」と「表計算ツール」が公開されています。
ZEROVer11では、詳細な計算が可能な「表計算ツール(多機能版)」に対応しています。
対応内容(必要壁量の算定) | 主な関連コマンド(基準法) | 主な関連設定 |
重い屋根・軽い屋根の廃止 | ・「一括自動」 ・「ツール」メニューの「必要壁量再計算」 ※表計算ツール(多機能版)」と同等の入力を行い、必要壁量の算定に必要な「乗ずる数値」を算出します。 | ・「物件初期設定:性能・地域条件-建築物事項」 ・「物件初期設定:性能・地域条件-荷重」 ・「専用初期設定:必要壁量-基準法」 ・「専用初期設定:必要壁量-性能表示」 |
屋根材・外壁材・断熱材の荷重を考慮 | ||
太陽光パネルの荷重を考慮 | ||
表計算ツールから「乗ずる数値」の算出 |
■存在壁量の基準の改定(令第46条第4関連)
基準法による申請において準耐力壁等を算入した計算に対応しています。
対応内容(存在壁量の算定) | 主な関連コマンド(基準法) | 関連設定 |
耐力壁の上限引き上げ(7倍まで) | ・「耐力壁」メニューの「耐力壁」 ・「柱接合部自動設定」 ・「存在壁量算定表」 ・「釣合」メニューの「側端部分存在壁量算定表」 | ・「専用初期設定:凡例-耐力壁」 |
準耐力壁等の入力と検討(基準法に対応) | ・「耐力壁」メニューの「準耐力壁等」 ・「接合」メニューの「柱接合部自動設定」 ・「壁量」メニューの「存在壁量算定表」 ・「壁量」メニューの「準耐力壁等 壁量」-「準耐力壁等倍率計算表」 ・「壁量」メニューの「準耐力壁等 壁量」-「準耐力壁等存在壁量算定表」 ・「壁量」メニューの「準耐力壁等 壁量」-「準耐力壁等割合確認表」 ・「壁量」メニューの「準耐力壁等 壁量」-「準耐力壁等凡例」 | ・「専用初期設定:凡例-準耐力壁等」 ・「専用初期設定:自動条件-準耐力壁等」 ・「専用初期設定:準耐力壁等」 ・「専用初期設定:必要壁量-性能表示」 |
メモ
- 「木造壁量計算」では告示にある壁構造を組み合わせた場合は必ず5倍に制限されていましたが、「木造壁量計算2025」では7倍まで使用できるように拡張しました。
- 「階高が3.2mを超える場合の筋かいの壁倍率低減」に関しては、メッセージを表示して注意喚起をします。詳しくはこちらを参照してください。
-
準耐力壁等の算入については、各階・各方向の地震力必要壁量の1/2以下の範囲内で任意に算入することができます。準耐力壁等が1/2に以下であるかは「準耐力壁等割合確認表」で確認・明示してください。
- 壁釣り合い算定(四分割法)において、準耐力壁等は存在壁量に算入しません。
- 基準法の存在壁量に算入した準耐力壁等のうち、壁倍率(複数の準耐力壁等を併用する場合は、準耐力壁等の壁倍率の合計)が1.5 倍を超える準耐力壁等は、当該準耐力壁等の倍率を用いてN 値計算を行います。
■柱の小径の基準の改定(令第43条第1項関連)
ZEROでは下記の算定方法に対応しています。参考文献:公益財団法人 日本住宅・木材技術センター「表計算ツール(多機能版)」
2-1.算定式と有効細長比より柱の小径を求める場合
2ー2.樹種等を選択し算定式と有効細長比より柱の小径を求める場合
2-3.柱の小径別に柱の負担面積を求める場合
柱の負担面積領域分割図と柱の負担領域求積図の作成と、柱の有効細長比の最大値が150以下であることを明示する為の算定表を配置します。
対応内容(柱の小径算出) | 主な関連コマンド(基準法) | 関連設定 |
柱小径の確認 | ・「柱小径」メニューの「柱の負担領域自動」 ・「柱小径」メニューの「有効細長比」 ・「基準法表」メニューの「柱の小径」-「柱の負担領域分割図」 ・「基準法表」メニューの「柱の小径」-「柱の負担領域求積図」 ・「基準法法」メニューの「柱の小径」-「柱の有効細長比」 | ・「専用初期設定:柱接合部・柱の小径」 |
メモ
- 詳しくは「柱小径」ヘルプを確認してください。
- 「表計算ツール(多機能版)」は、日本住宅・木材技術センターのホームページから無料でダウンロードでき、どなたでも利用できます。
- ARCHITREND ZEROは「表計算ツール(多機能版) 」に基づいた計算を行います。
旧基準と新基準の違いについて
法改正における木造壁量計算の違いは下記の通りです。(基準法検討時のイメ-ジ)
メモ
- ステップ4以外にも「その他のチェック」として、下記の内容を設計図書に明示する必要があります。
ZEROでは、オプションプログラム「仕様表」にて、下記に対応したテンプレートを用意し、仕様表を作成することができます。
・基礎の仕様(基礎・地盤の内容の明示)(規則第1条の3第1項表2)
・地耐力に応じた基礎構造の選択と明示(令第38 条、平12建告第1347号)
・布基礎とする場合の仕様の明示(平12建告第1347号)
・べた基礎とする場合の仕様の明示(平12建告第1347号)
・基礎ぐいとする場合の仕様の明示(平12建告第1347号)
・屋根ふき材等の緊結方法の明示(令第39 条、規則第1条の3表2、昭46建告第109号)
・土台と基礎の緊結方法の明示(令第42条第1~ 2項)
・横架材の欠き込みの有無を明示(令第44条)
・筋かいの最小断面の仕様の明示(令第45条第1〜 2項)
・筋かい端部の接合方法の明示(令第45条第3項、令第47条第1項、平12 建告第1460号第1号)
・筋かいの欠き込みの有無を明示(令第45条第4項)
・火打材等の設置の有無を明示(令第46条第3項、平28国交告第691号)
・小屋組みの振れ止めの設置の有無を明示(令第46条第3項)
・部材の品質と耐久性の確認
構造耐力上主要な部分である壁や柱などの材料の明示(令第37条)
構造耐力上主要な部分に用いる木造の明示(令第41条)
・木造の外壁の下地の明示(令第49条1項)
・防腐・防蟻措置の明示(令第49条第2項)
・指摘建築材料のJIS・JAS等への適合と明示(法第37条、規則第1条の3表2、平12建告第1446号)
※出展:一般財団法人 日本建築防災協会、一般財団法人 建築行政情報センター発行の「2階建ての木造一戸建て住宅(軸組工法)等の確認申請・審査マニュアル」 - 「確認申請チェック」を利用することで、「確認申請・審査マニュアル」に沿ったチェックリストでチェックが可能です。確認申請時の記載漏れ対策として活用してください。
- 公益財団法人 日本住宅・木材技術センター「表計算ツール(多機能版)」では、2階建てまでが提供されています。3階以上は簡易な構造計算(許容応力度計算)が必要となります。3階建てのプランで木造壁量計算2025の各図面を開くと下記メッセージを表示します。「OK」をクリックした後、「物件初期設定:基準高さ情報」の階数の設定を確認してください。
- 2025年法改正から、筋かいを入れた軸組の壁倍率の見直しがされました。階高3.2m超えの場合には下記の注意喚起メッセージを表示します。「物件初期設定:基準高さ情報」で階高の設定を確認してください。